ホームポート泉大津から小笠原諸島の父島を経由して反時計回りの本州一周の航海を行った。
当初の航海計画は南太平洋に浮かぶ島サモアを往復航海するものであった、そのつもりで装備・食料その他の準備を整えて7月1日にホームポートを出発し第一番目目の寄港地である父島を目指した。父島には7月7日に到着した、7月10日にエンジンの海水冷却水ポンプから水漏れしているのを発見した、水漏れはエンジン運転中には生ぜず停止すると生じていた。このまま航海を続けるのは無理と判断し修理することにしてポンプの駆動軸のシールを取り寄せることにした。東京と父島の間は航空便はなく一週間に一度の船便でつながっているだけである、そのために一度船積みを失敗すると一週間遅れてしまう、交換するシールを入手できたのが7月24日になってしまった。
8月になると南方方面は台風シーズンに入り、このままサモアに向けて南下すると台風に遭遇する可能性が出てきたのでサモア行きを断念して逆に北上し本州を反時計回りに一周することに計画を変更して7月30日父島を出発した。
NO | 寄港地 | 日付 | 緯度 | 経度 | 航海時間 | |||
入港 | 出港 | 度 | 分 | 度 | 分 | |||
0 | 泉大津マリーナ | -- | 7月1日 | 34 | 30.749 | 135 | 23.665 | -- |
1 | 二見漁港 | 7月7日 | 7月30日 | 27 | 5.922 | 142 | 12.000 | 146.0 |
2 | 銚子マリーナ | 8月4日 | 8月5日 | 35 | 42.109 | 140 | 50.310 | 125.0 |
3 | 下風呂漁港 | 8月9日 | 8月10日 | 41 | 28.188 | 141 | 5.630 | 144.5 |
4 | 函館港 | 8月10日 | 8月14日 | 41 | 46.021 | 140 | 42.996 | 8.0 |
5 | 吉岡漁港 | 8月14日 | 8月15日 | 41 | 26.914 | 140 | 14.368 | 7.0 |
6 | 深浦漁港 | 8月16日 | 8月22日 | 40 | 38.629 | 139 | 55.760 | 24.5 |
7 | 秋田港 | 8月22日 | 8月23日 | 39 | 44.639 | 140 | 4.015 | 18.5 |
8 | 秋田マリーナ | 8月23日 | 8月28日 | 39 | 47.322 | 140 | 2.290 | 1.0 |
9 | 本荘マリーナ | 8月28日 | 8月29日 | 39 | 23.605 | 140 | 0.923 | 5.0 |
10 | 酒田マリーナ | 8月29日 | 8月31日 | 38 | 55.641 | 139 | 49.029 | 7.0 |
11 | 鼠ヶ関漁港 | 8月31日 | 9月1日 | 38 | 33.770 | 139 | 32.755 | 5.5 |
12 | 新潟港 | 9月1日 | 9月2日 | 37 | 55.440 | 139 | 3.459 | 10.0 |
13 | 赤泊漁港 | 9月2日 | 9月3日 | 37 | 52.793 | 138 | 25.843 | 6.0 |
14 | 小木港 | 9月3日 | 9月4日 | 37 | 48.635 | 138 | 17.644 | 2.0 |
15 | 直江津 | 9月4日 | 9月5日 | 37 | 11.040 | 138 | 15.243 | 7.5 |
16 | 狼煙漁港 | 9月5日 | 9月6日 | 37 | 31.542 | 137 | 19.707 | 10.0 |
17 | 輪島漁港 | 9月6日 | 9月8日 | 37 | 24.238 | 136 | 54.167 | 6.5 |
18 | 福浦漁港 | 9月8日 | 9月9日 | 37 | 5.101 | 136 | 43.540 | 6.5 |
19 | 金沢港 | 9月9日 | 9月10日 | 36 | 37.076 | 136 | 36.219 | 6.0 |
20 | 三国港 | 9月10日 | 9月11日 | 36 | 12.739 | 136 | 8.963 | 9.0 |
21 | 越前漁港 | 9月11日 | 9月12日 | 35 | 55.833 | 135 | 59.759 | 4.5 |
22 | 小浜漁港 | 9月12日 | 9月15日 | 35 | 30.067 | 135 | 44.183 | 7.5 |
23 | 伊根湾 | 9月15日 | 9月17日 | 35 | 40.471 | 135 | 17.320 | 7.0 |
24 | 柴山漁港 | 9月17日 | 9月20日 | 35 | 39.442 | 134 | 39.618 | 7.0 |
25 | 鳥取港 | 9月20日 | 9月22日 | 35 | 32.103 | 134 | 32.103 | 5.5 |
26 | 境マリーナ | 9月22日 | 9月23日 | 35 | 30.910 | 133 | 15.136 | 10.0 |
27 | 小伊津漁港 | 9月23日 | 9月25日 | 35 | 30.222 | 132 | 50.493 | 8.5 |
28 | 十六島漁港 | 9月25日 | 9月27日 | 35 | 27.510 | 132 | 44.991 | 8.0 |
29 | 大社漁港 | 9月27日 | 9月28日 | 35 | 24.075 | 132 | 39.325 | 3.0 |
30 | 浜田漁港 | 9月28日 | 9月30日 | 34 | 53.697 | 132 | 4.095 | 8.5 |
31 | 萩漁港 | 9月30日 | 10月2日 | 34 | 26.143 | 131 | 24.809 | 9.0 |
32 | 室津マリーナ | 10月2日 | 10月3日 | 34 | 8.313 | 130 | 53.200 | 9.0 |
33 | 門司第二船溜 | 10月3日 | 10月4日 | 33 | 57.187 | 130 | 57.886 | 5.0 |
34 | 大海漁港 | 10月4日 | 10月5日 | 34 | 1.902 | 131 | 28.201 | 8.5 |
35 | 上関漁港 | 10月5日 | 10月6日 | 33 | 50.094 | 132 | 6.978 | 7.0 |
36 | 廿日市ボートパーク | 10月6日 | 10月7日 | 34 | 21.226 | 132 | 21.173 | 8.0 |
37 | 大崎下島海の駅 | 10月7日 | 10月9日 | 34 | 11.311 | 132 | 51.163 | 8.0 |
38 | 弓削海の駅 | 10月9日 | 10月10日 | 34 | 15.495 | 133 | 12.222 | 5.0 |
39 | 粟島漁港 | 10月10日 | 10月11日 | 34 | 16.089 | 133 | 37.954 | 5.5 |
40 | 宇野港第三埠頭 | 10月11日 | 10月12日 | 34 | 29.236 | 133 | 56.899 | 5.0 |
41 | 室津海の駅 | 10月12日 | 10月13日 | 34 | 29.182 | 134 | 29.182 | 6.5 |
0 | 泉大津マリーナ | 10月13日 | -- | 34 | 30.749 | 135 | 23.665 | 8.5 |
日数合計 104日 航海時間合計 710.0 航海距離合計 2850 NM エンジン使用時間合計 721 H
父島から直接函館まで向かうつもりであったが、風がないため機走を余儀なくされ燃料が不足したので補給のために銚子に寄港した。
この時は黒潮が八丈島を迂回し大きく蛇行しており、この北上する流れを利用して航海を行った、右の図から分かるように8月2日までの1日の航海距離に比べて8月2日以降の航海距離が2倍強延びている。
津軽海峡の潮流は常に日本海側から太平洋側に流れている、その速度は季節や時間により変化するが6ノット以上に達することがあるとされている。色々と調べたが海峡の潮流の予測資料を見つけることができなかったので潮流の速度を知らずに海峡に入りそして横断することとなった。そのために太平洋側から下北半島の尻屋崎をかわして海峡に入るタイミングを早朝にして海峡に入ってからの時間的に余裕が取れるようにした、また横断する際にも同様に早朝に出発した。
下風呂漁港までの航跡(緑色)
函館港から吉岡漁港までの航跡
下風呂漁港から函館港までの航跡
吉岡漁港から深浦漁港までの航跡
日本海側は深浦漁港でミーティングした古くからのヨット仲間であるヨット「東日流(つがる)」の堀内さんの案内で航海した。
堀内さんはすでに日本一周を果たし、今回は北海道の奥尻島まで航海し大阪まで帰港するところであった、日本海側を熟知しているベテランヨットマンである。おかげさまで事前に全く調査していなかった日本海側の多くの港に難なく寄港することができた、大変感謝している。
日本海側は海流が北上していて、南下するのはそれに対して逆らうことになるのでヨットにとっては厳しいという認識を持っていたが、今回の航海を行いそれが間違いであることが分かった、沿岸に沿って2~3マイル沖合いを通ることで大部分で逆潮を受けることは無かった、しかし岬を回航する場合や、日本海に突き出ている半島の南側では強い逆潮を受けた、特に男鹿半島の南側で秋田マリーナを目指したときには3ノット前後の逆潮を受け難儀した。「東日流」の経験でも北上した時より南下した時の方が燃料の消費量が半分近くですんだようだ、このことから南下する場合は沿岸に沿って航海することが有利であることを示していると思われる。
ヨットで日本海側を航海する場合は、北上は沖合いの航路を採って潮流を利用し、南下は沿岸沿いの航路を採るのが良いと思われる。
サモア往復の航海を達成することができなかったが、幸運にもヨット「東日流」と回り逢うことが出来、本州一周を果たすことが出来たのは望外の喜びである。日本一周としては北海道と九州西岸及び沖縄南端が残っているので何時の日にか制覇したいと思っている。
サモアへの再挑戦もしたいと思っている
父島 二見港 7月16日
佐渡島 小木漁港 9月3日
厳島神社 10月6日
函館港 8月12日
関門大橋 10月3日
明石海峡大橋 10月13日